vs. 初手司教

この記事はドミニオン Advent Calender 2021 11日目の記事です。

この記事では筆者が好きなカードの1つである司教の使い方……ではなく、初手から相手に使われた時のことについて書き散らします。原則2人戦を前提としています。

そもそも初手司教ってどうなの?

ドミニオンには多くの人が「とりあえずこれを取っておけ」と言う定番の初手もあれば、「それはやめとけ」と即切り捨てられてしまう弱い初手も存在します。そして初手司教は弱い初手として有名ではないでしょうか。なぜ & どう弱いのかはこちらの記事がわかりやすいです。

端的にまとめるなら

  • 自分も相手も廃棄するなら相対廃棄差は0枚
  • 自分はアクションを消費して1金出すだけなのに、相手にとってはキャントリップ1廃棄

という効果がVP込みでも割に合っていないということです。

そんな弱い初手を相手が取ってきたら、思わず席を立って小躍りしたくなるかもしれません。ですが少し落ち着いて考えてみましょう。

便乗廃棄は意外と当てにならない

初手で司教を買われた時、デッキ1周(≒ 2~3ターン)に付き1枚廃棄できることを期待したくなります。しかし、そうはうまくいきません。なぜなら司教は弱いからです。

あなたは廃棄をしつつ村や鍛冶屋などのデッキパーツを入れていますが、相手はそんなことありません。したがって相手のデッキ回転力はあなたよりも低く、司教をプレイする回数は減ります。また、あなたのデッキにはコンボパーツも入ってくるため、山札3周目以降は手札5枚に屋敷が含まれる可能性は低くなります。

そして相手が初手司教の弱さがわかっていなかったとしても、ゲームが続くと気づくかもしれません。「あ、これ司教を使っている場合じゃないな」と。他の強力なエンドアクションと司教が被った時、司教をプレイしてくれる可能性は低いでしょう。

便乗廃棄を活かせないこともある

基本的には山札2周目の内に屋敷を便乗廃棄できるのが一番嬉しい流れでしょう。逆に言うとそれができない場合、対初手司教の旨味はだいぶ減ります。ちなみに自分が銀貨・銀貨、相手が銀貨・司教でスタートした場合、自分のデッキ2周目で屋敷を廃棄できる確率は先手なら35.04%、後手なら70.08%です。

また、自分が屋敷を活かして5金を出す初手を取った場合も便乗廃棄は活かしづらいです。具体的には男爵、引揚水夫、馬商人、風車などです*1

VP差を意識する

相手だけが司教を使っている場合、通常は3~6点くらいのVP差が付きます。これは人数×6VP系ランドマークを取り負けた時と同じくらいの差です。アドバンテージを活かして属州を5枚以上取れるなら概ね無視できますが、そうでないなら得点差を埋める方法を考えなければいけません。

1つの選択肢はこちらも司教を投入することです。中盤以降であれば便乗廃棄の効果は薄いですし、きちんと構築できているなら司教をプレイできる回数はこちらの方が多いはずです。工房なども合わせればあっという間に勝利点トークンを追い越せるでしょう。

致命的な沈みをカバーできるほどの弱さではない

仮に都合よく屋敷を便乗廃棄できたとしても、こちらが2周目でダブルボトムだったり出すはずだった5金を出せなかった場合、もはや自分の方が不利だと言わざるを得ません。

これはもう司教とは関係ない精神論的な話ですが、相手が悪手を取った時に不運な引きをするとティルトしやすいと筆者は考えています。テキサスホールデムポーカーで例えるなら「自分がフロップセットでオールインしたのに、なぜかコールしてきたノーヒットの27oにランナーランナーストレートを引かれてチップを大きく失った」といったところでしょうか*2。相手が悪手を取った時こそ、不運に対してティルトしないように気持ちを引き締めるべきです。

まとめ

大事なことなので念の為もう一度書きますが、初手司教は有名になるくらい弱いです。が、その有名さゆえに過度な期待を抱いている方もいるのではないでしょうか。

相手が初手司教を取っだだけで勝ちを確信するのは早計です。過度な期待をせず、ましてや便乗廃棄を構築プランに織り込むことなく、冷静に普段通りの構築を行っていくのがいいでしょう。

*1:賞金稼ぎくらいのパワーがあれば問題はないですが……

*2:ポーカープレイヤーならこれが如何にティルトしやすい状況か想像が付くでしょう。